MRIとは
MRIとは、Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略で、身体の断面画像を撮るために、強い磁場と電磁波を用いて行う検査です。
脳神経外科でのMRIは、現在の症状(頭痛、もの忘れ、頭部外傷(ケガ)、めまい、しびれ、けいれん、ふらつき、意識消失)が病的な原因(脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、脳動脈瘤、副鼻腔炎、認知症)によるものかどうかを診断するために欠かせない検査です。
MRIは一度の撮影だけでなく、症状や治療経過に応じて時期を変えて繰り返し撮影し、脳内の時間的な変化を観察することが重要です。
3.0TのMRIについて
当院では、高性能の3.0T(テスラ)のMRIを導入しています。
このタイプのMRIは、通常は大学病院や大規模な病院で使用されることが多く、クリニックで導入されているのは珍しい特徴です。
3.0T MRIは、従来の1.5T MRIに比べ、短時間で高画質な撮影が可能です。また、1.5TのMRIではぼんやりしていた部分も、3.0TのMRIでははっきりと確認できるため、疾患の早期発見につながります。
例えば、わずか2mm四方の脳腫瘍や脳動脈瘤も検出可能です。
MRIの注意事項
金属の持ち込みは禁止です。
金属を持ち込むと、患者様や検査機器に影響を及ぼす可能性があります。
患者様への影響
発熱によるやけど、強力な磁場に引っ張られることによるケガ、貴重品の破損などの可能性がございます。
クリニックへの影響
持ち込んだ金属がMRIに反応しMRIが故障する可能性があります。
修理には数日間を要し、その間、全ての患者様の検査が行えなくなってしまいます。
MRI検査室に持ち込み禁止の例
貴重品
入れ歯、補聴器、メガネ、万歩計、財布、時計、スマートフォン、携帯電話、鍵、クレジットカード、キャッシュカード、交通系ICカード、ボールペンなど
アクセサリー類
ネックレス、ピアス、イヤリング、指輪、ヘアゴム、ヘアウィッグ、ヘアピンなど
衣類
ヒートテックなどの発熱機能のある下着、ホックつきのブラジャー、コルセット、ベルトなど
貼付物
ニトロダーム、ニコチネル、ニュープロパッチ、ノルスパンテープ(支持体にアルミニウムを含有しているため、加熱による火傷の可能性があります。)
湿布、エレキバン、ホッカイロ、鍼治療の置き針など
化粧品類
一時染毛料(増毛パウダー、白髪ファンデーション、ヘアマスカラ、カラースプレー)
ラメを含んだマスカラやアイシャドウ、ディファインを含むカラーコンタクトなど
MRIを受けられない金属類
- 心臓ペースメーカー(最新のものだと検査OKなものもあるが、循環器医の許可が必要)
- 体内埋め込み式除細動器
- 内視鏡でポリープ切除時にクリップやホチキスをした場合(2週間以内は禁止)
- 内視鏡でポリープを入れた人(2週間以内は禁止)
- 人工内耳・中耳
- 人工心臓弁
- 冠状動脈や頸動脈にステントを挿入して間もない場合(2ヶ月以内は禁止)
- 体内植込み型装置
- VNS=迷走神経刺激装置
- DBS=深部脳刺激装置
- SCS=脊髄刺激装置
- ICD=植込み型除細動器
- 体内埋め込み式インスリンポンプ
- 骨成長刺激装置
MRIを受けられない可能性のある金属類
以下の金属類が該当する場合、医師の判断が必要となります。
- 脳動脈瘤クリップ
- 脳血管内治療のコイル・ステント
- 人工関節
- 人工心臓弁
- 水頭症に対するシャントチューブ(検査の前後でバルブ圧確認の必要がある場合があります。)
- 磁石式の人工肛門・義眼・義歯(磁力が減弱する可能性があり、かかりつけの病院で調節が必要です。)
- 骨折などに対してボルトやプレート
- 刺青、眉やアイラインなどのアートメイク(変色や、発熱によるやけどの可能性があります。)
- その他体内金属、磁気製品
MRIの撮影の流れ
1.同意書の記入
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2.お着替え
※身につけているすべての金属類を外して、必要に応じて指定の検査着にお着替えいただきます。
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3.検査前確認
※MRI室に入る前に、金属の取り外しが完了しているか最終確認を行います。
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4.検査
※検査時間は約10〜30分で、患者様にはベッドに仰向けで横になっていただきます。
検査内容によっては、スタッフが「コイル」という装置(MRIの信号を受け取る装置)を装着する場合があります。
その後、ベッドごと直径約60cmのトンネル状の装置内に入ります。検査中は、トントン、ガーガーと工事現場のような大きな音がしますが、痛みや振動、その他の刺激はありませんのでご安心ください。
閉所恐怖症の患者様へ
閉所恐怖症をお持ちの患者様には、以下の対策が可能です。事前にスタッフまでお気軽にご相談ください。
- 緊急用ブザーのお渡し
- 光や風の調整
- 耳栓や目隠しの使用
- 必要に応じて安定剤の内服
- 同伴のご家族やスタッフの付き添い
※検査室への同伴は可能ですが、トンネル内への同伴はできません)。 - 撮影時間の工夫
※検査内容に応じて短時間で撮影可能なモードを適用できる場合があります。ただし、画質が低下する可能性があるため、医師と相談の上で決定いたします。
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5.検査後のお着替え
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6.診察室で結果説明
頚動脈エコー
目的 | 頭部に血液を送る重要な血管である頸動脈の状態を調べる。頸動脈における老化現象である動脈硬化(血管の硬さやつまり)の程度を確認する。 |
検査方法 | ベッドに仰向けになり、首にゼリーを塗ってから、超音波を発する「プローブ」という機械を当てて検査を行う。 |
所要時間 | 10〜20分程度 |
特徴 | 検査時間外に起きる発作は確認できない。 |
検査結果例
心電図・脈波(同一の機械で測定します)
心電図検査
目的 | 心臓の波形を見て、心臓の状態を調べる |
検査方法 | ベッドに仰向けになり、両手足と胸に電極を装着して検査を行う。 |
所要時間 | 5分以内 |
特徴 | 検査時間以外に起きる発作や異常は確認できない。 |
血圧脈波検査
目的 | 老化現象である動脈硬化(血管の硬さやつまり)の程度を確認する。 |
検査方法 | ベッドに仰向けになり、両手足に腕帯とクリップ、両手首に電極、胸元に心音マイクを装着して検査を行う。 |
所要時間 | 5分 |
特徴 | ・検査時間以外に起きる発作や異常は確認できない。 ・厚手の服や、身体を締め付けるような服装(細めのデニム、ボディスーツ、着圧ストッキングなど)は脱ぐ必要がある。 ・痛みは基本的にはない。(高血圧の方は椀帯の締め付けが強く、痛みを感じる場合がある) |
検査結果例
レントゲン(X線撮影)
目的 | 肺の状態、心臓の状態、首の骨の状態を確認する。 |
検査方法 | 立った状態または座った状態で、検査する部位にX線を当てて撮影する。 |
所要時間 | 5分程度 |
特徴 | 少量の被ばくがあるが、簡便な上に得られる情報量が多い。 |
認知症のスクリーニングテスト(MMSE)
目的 | 認知症の疑いがあるかどうかを判断するためのスクリーニングをする。 |
検査方法 | 看護師が患者様に口頭で11項目の質問を行い、30点満点で評価する。 質問内容には見当識(時間や場所の認識)、記憶力、計算力、言語的能力が含まれる。 |
所要時間 | 10分程度 認知機能の程度によって異なる |
特徴 | ・信頼度が高く、手軽にできる。 ・認知機能が低下している場合は、症状や程度、個別性によっては焦り、諦め、怒りなどのストレス負荷、または検査が遂行できずに終わってしまうこともある。 |
よくあるご質問
MRIは痛いですか?
MRIはまったく痛みがありません。検査中に感じる刺激は音のみです。
工事現場のようなトントン、ガーガーという大きな音がしますが、痛みやその他の不快な刺激はありません。
MRIは妊娠中・妊娠の可能性があっても受けられますか?
妊娠3ヶ月以内の場合、MRIを受けられない可能性があります。
疑われる病気の緊急性や検査の必要性に応じて、検査を行うかどうかは医師が慎重に判断いたします。
妊娠中、または妊娠の可能性がある方は、必ず事前にスタッフへお申し出ください。
MRIは閉所恐怖症でも受けられますか?
閉所恐怖症の方でも、適切な対策を講じることで、多くの場合は無事に検査を受けることができます。検査前にスタッフへご相談いただければ、以下のような対策を行うことが可能です。
- 緊急用ブザーのお渡し
- 光や風の調整
- 耳栓や目隠しの使用
- 必要に応じて安定剤の内服
- 同伴のご家族やスタッフの付き添い
※検査室への同伴が可能ですが、トンネル内への同伴はできません。 - 撮影時間の工夫
※検査内容に応じて短時間で撮影可能なモードを適用できる場合があります。ただし、画質が低下する可能性があるため、医師と相談の上で決定いたします。
MRIの予約はできますか?
初診の方のMRI検査予約は承っておりません。
再診の方のMRI検査の予約はお電話にて承ります。WEBでの予約は受け付けておりませんので、ご了承ください。
久しぶりに受診したいです。MRIの予約はできますか?
申し訳ありませんが、お久しぶりの方のMRIの予約は承っておりません。
医師の診察を受けていただき、現在の症状をお聞かせください。医師の判断のもとMRIを実施いたします。
MRIは予約がなくても受けられますか?
予約なしでも当日の検査が可能です。
予約の方が優先となるため、お待ちいただく場合がございます。
赤ちゃん、子どもはMRIを受けられますか?
MRI検査は年齢制限がなく、何歳からでも受けることが可能です。
ただし、条件として検査中10〜15分間の大きな音がするトンネル内で、1人でじっと横になれることが必要です。
動いてしまうと、血管や神経などの細かい部分が正確に映らず、診断に影響を及ぼしてしまうためです。
サポートとして、保護者の方が検査室に入り、お子様と手を繋いで検査を行うことが可能です。
ただし、保護者の方は検査室には入れますが、トンネル内に入ることはできません。
MRIが撮れない場合は、他の情報を基に総合的に診断をいたします。
当院では鎮静剤を使用しての対応は行っておらず、鎮静剤が必要な場合は大きな病院をご紹介させていただきます。
MRIは安全ですか?
MRIは安全な検査です。
放射線を使用しないため、被ばくの心配は一切ありません。
また、MRIで使用する磁場は非常に強力ですが、人体に影響を与えることはありません。
ただし、MRIは金属に反応するため、体内に金属が入っている方(ペースメーカーなど)は事前にお知らせください。