53. ワーク・ライフ バランスの支柱
最近、ワーク・ライフ バランスという言葉を良く耳にするようになりました。
ワーク・ライフ バランスとは、直訳すると「仕事と生活の調和」という意味です。
経済界や労働界、そして政府や地方公共団体の合意によって策定された「ワーク・ライフ バランス憲章」に書かれている定義の意味するところは
『国民一人ひとりが、生活に生き甲斐を感じながら、同時に仕事にもやり甲斐を感じ
その相乗効果によって、さらに仕事上の責任を果たすとともに
家庭や地域生活などにおいても、独身時代、子育て時代、中高年時代と
年齢を重ねる各段階に応じて多様な生き方が選択、実現できる』
ということになります。
定義通りの生活と仕事が実現できれば、こんな素晴らしいことはないでしょう。
でも現実世界は、そう簡単にはいかないようです。
ワーク・ライフ バランスを考える前に人が、充実した人生を送るために、欠かせない要素は、一体何でしょうか?
と考えてみると、当り前のことですが、まずは、「健康」です。
「健康」なくして、充実した人生などあり得ない。
健康が、基礎にあって、その上にあるものが、「家庭」と「仕事」。
健康という基盤があって、その上に、家庭と仕事が、調和している。
この両者は、一対となって、生活を安定させるのでしょう。
その家庭と仕事の均衡を保つためには適切な「趣味」と適時な「教養」が、必要なのだと思います。
適切な趣味とは・・・乾いた時に、潤いある時間を、与える嗜みであり適時な教養とは・・・迷った時に、誤りない判断を、下せる素養である。
この両者は、セットとなって、人間を向上させるのでしょう。
そして、それらをさらに一層充実した人生を送るために不可欠で下支えしているもの・・・
それは、「財産」です。
「健康」が基礎にあって「家庭」と「仕事」が、一対となって生活を安定させ「趣味」と「教養」が、セットで人間を向上させる。
その下支えが、「財産」である。
人が、充実した人生を送るために欠かせない要素は、これら6つの柱。
もしこの6本のバランスが、うまくとれていれば仕合わせにつながるのだと思います。
健康・家庭・仕事・趣味・教養・財産6つの柱が、バランスよく均衡がとれていれば・・・でも・・・でもなのである。
そんなバランスのいい人生を歩める人は、むしろ少数派であって大多数の人は、6本の柱の中で、1、2本欠けている。
いやむしろ、柱が、半分しかない人さらに1、2本しか残っていない人も多いのではないか。
財産は、あるけれど、教養はない・・・
仕事は、多忙だけど、家庭は崩壊・・・
趣味は、熱心だけど、健康は人事・・・
現実的には、6つの要素は、均衡がとりにくい私たち。
しからば、ワーク・ライフ バランス憲章に書かれている『年齢を重ねる各階段に応じて多様な生き方が、選択実現できる』という理念はそれはそれで、理想として憬れつつ・・・では、一体どうしたらいいのか?
何事もあらゆる動きを「喜働」に取り組むことで6つの全ての要素が、全体にプラスに作用する生き方。
そんな歩みができれば、その人にとって充実した人生となり得るのではないでしょうか。
特に、仕事は・・・
どんな職場でどんな働きをするにせよ、自分の人生の中で大切な軸をしっかり持ち如何に、今与えられている「仕事の車輪」と自身の「人生の車軸」を重ね合わせて有意義に結びつけられるか
そして、仕事(=ワーク)と生活(=ライフ)という「車体」を同時に前に押し進められるか
そのためのエンジンを滑らかに動かす潤滑油が何事にも喜んで動く「喜働」という働き方なのではないか、と思います。
定時の就業時間が、1分でも過ぎれば途端にモチベーションが下がるという仕事の仕方をしている人がいればその人自身にとって、また職場にとっても良好な関係とはならず、有意義な結び付きとはならないでしょう。
私たちは、仕事上、自身の置かれた環境に不満を抱くことは、多いもの。
そして、多くの場合は、隣りの芝生が、とても青く見えるもの。
だから、そんな自身の置かれた環境に悩み不満を抱くより与えられたその環境が、「前提である」と割り切って自身の仕事を位置付けるしかありません。
でも、実際は会社の仕事が、楽しくて仕方ないというサラリーマンが家事が、大好きだという主婦が果たしてどれだけいるでしょうか。
多くのサラリーマンにとって月曜日の朝は、憂鬱なブルー・マンディーで金曜日の夜は、心弾むライト・フライディー。
自分の天職に出合い、好きなことを仕事にできて、それに没頭できる人は、ごく少数。
だから、天職でない、好きでない、没頭できない仕事をせざるを得ない凡庸な私たちは・・・
仕事の本質は、お金を稼ぎ、自立して生きていくための手段と割り切りながら仕事の品質を、高めるあらゆる働きを「喜働」に行なうことでワーク・ライフ バランスが、いつしかいい位置に均衡できる「支柱」になると思いたい。
私たちは
常に仕事を通して・・・、仕事を鏡として・・・
自身を反省し・・・、自身の歪みを正し・・・
人格を高めていく。
仕事が、人格の表現であるとするならば仕事の不出来や失敗は、その人の仕事に対する取り組み方オーバーな表現をすると、生き方に問題があるのかも。
だから、不断に自己の人格を磨くことが、結果としてよりよい仕事を達成し自己の仕合わせを成就することになるのだと思います。
ワーク・ライフ バランスを考える時・・・
職業としての仕事や日常の家事の中で頑張り過ぎない「喜働」の効用は、日々支柱となる計り知れない底力。
自身のために、家族のために、そして周りの人のために明るく元気に喜んで働ける日々が、一日でも長くありますようにと願いを込めたワーク・ライフの一日でした。
2009.11.5