35. 卒業生に贈る言葉
2015.06.08
3月のこの時期は、卒業シーズンでありあちらこちらの学校で卒業式が開催されている頃だと思います。
小学生は、6年間を、中学生と高校生は、3年間の就業年限を終えあるいは専門学校や大学でも自身が学んだ学舎を去る時は晴れがましくもあり、また寂しくもある瞬間です。
定められた就業年限を無事終えて卒業証書を手にした卒業生は今いったいどのような心境でしょうか。そして将来どんな希望を抱いているでしょうか。
どのような学校でも卒業できた事は、それはそれで大変おめでたい慶事だと思います。
自身の努力によって、そしてまた親や師、社会の周りの人々による協力によって無事卒業できたことに心からおめでとうと言って上げたい。
どのような学校でどのような学生時代を過ごしたかは、本人しか分からない。
家から学校までの通学途上で・・・、始業時から下校までの教室で・・・大笑いした経験や胸が張り裂ける経験・・・楽しい時や苦しい時がいっぱいあった。
その場には、本人しか分からない数々の想い出が詰まっていることでしょう。
そんな過去の思い出を胸に無事卒業できた事にまず素直に感謝したいものです。
私は、大学を卒業する時にある先生からアドバイスを頂いた事が、今も心に残っています。
それは・・・
「学生時代は、目の前に他人から与えられた課題をある期限までに終えればそれで済む。
でも社会人になれば、これから自分の目の前にある課題を自ら見つけ出し
無期限に取り組まなければならない」と。
学生時代は、課題は期限までに与えられるもの・・・。
社会人は、課題は無期限に自ら見つけ出すもの・・・。
この単純な思考の転換に大学を卒業する時、思わずドキッとしたものでした。
身が引き締まる一言が、数十年経った今も頭の片隅に「心の杖言葉」として残っています。
学校を卒業できた、それはそれで慶事でありながら、また次のステップへの一里塚でしかない。
学生時代を終えてもう相当な年月が経っている私には今も心の底に残っている大変有り難い言葉であり、生涯絶えることのない永遠のテーマです。
さて・・・
次に私が、3月に卒業する人にアドバイスするならば、どんな言葉を贈るでしょうか?
卒業する時点では、将来に対する不安と希望が交錯していることでしょう。
しかし、その不安と希望が、自身を克己する原動力となる。
そこで私が、卒業する人に贈る言葉は・・・
“ 20年後の未来に在りたい自分を想像しよう ”です。
20年後とは、西暦では、2030年です。
20年もの将来にいったい世の中が、どんな時代になっていてどんな社会になっているかを見通せる人などいるばすはありません。
閉塞感が、漂う今の世の中で1、2年の近未来さえもわかないのに20年後の有り様は、予想などできないことでしょう。
でも・・・
「20年後の自身が
どんな人間になっていたいか、どんな生活をしていたいか、どんな生き方をしていたいかを
予想は出来なくても想像することは出来るはずです。
想像出来なかったら、20年後の夢と希望でもいい。
将来、在りたい自分を想像することは
無期限に取り組まなければならない自分の課題を自ら見つけ出す手掛かりでもある。
ささやかなでも希望が実現できるように在りたい将来の自分を想像してみて下さい」と。
そんな単純な自己への問いかけが、卒業生に贈る言葉です。
小学校を卒業する12歳の人は、32歳・・・もう結婚している頃でしょうか。
高校を卒業する18歳なら38歳・・・心身とも充実した壮年になっていることでしょう。
20年後の将来、3月に卒業した若者が、どんな成長を遂げているか、どんな活躍をしているか2030年に陰から気付かれないように邪魔にならないところからそっと眺めてみたいものですね。
もし、“ 20年後に在りたい私自身 ”が、この世に存在していればの話ですが・・・。
2009.3.8