19. 母と娘、親子の絆
通院患者さんの中には、ご高齢の方々が、大勢おられます。
90歳代の患者さんが、何人もおられますが通院される際に施設で療養されている人は、施設の職員に付き添われて自宅で療養されている人は、ご家族と一緒に来院されます。
90歳を過ぎると、さすがにご自身を自分お一人で支えることが困難になってきます。
でも、そんな中、背筋をピンと伸ばして介護者やお付きの人もなくお一人で通院されている女性患者さんがいます。
その患者さんの娘さんも当院へ通院されていて母と娘で外来通院されている親子なのです。
母と娘・・・ ・・・
と言ってもお母さんが90歳代前半で・・・娘さんが60歳代後半で・・・。
「娘さん」とお呼びするには、ちょっと?・・・ですが母娘であることは確かですね。
その「娘さん」は、当院へ通院しながら他の重要な疾患で他院へも通院され、今、命に関わる病気で病魔と戦っておられます。
放射線治療と抗がん剤治療を受けながら。
ある日、お母さんが、外来受診された時におっしゃいました。
『私は、高齢だけどまだ弱音を吐いてはいられません。娘を元気付けるためにも』と。
もともとお元気そうな容姿でしたが、増々背筋を伸ばして毎日を過しておられるそんなシャキッとした日々を生きる姿勢に思わず拍手したい気持ちになりました。
別の日に娘さんが、外来受診された時の会話では私が、『お母さん、すごくお元気ですねえ』と言うとその娘さんは、『そうなんですよ。私以上に元気でねえ。私も負けられません』と。
人が人を支え合う。
人は自分のためだけに生きているのではない。
人の存在そのものが、人の生き甲斐になる。
そんな思いを垣間みた親子の絆でした。