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コラム

37. 素朴なキーワード

2015.06.09

日本の会社は、本社が外国籍以外は、どこも3月が決算期です。
経理担当の人や税務に関わっている人は、今が一番忙しい時期なのではないでしょうか。
(そんな方は、お疲れさまです、体に気を付けて下さい)

連日連夜、深夜まで仕事をして終電で帰宅し、奥様が駅までお迎えという家族も多いと聞きます。
経理や税務は、会社の業績に直接に関わらなくても縁の下の力として重要な職務を担っています。
会社の経営状態が、全てわかるためこの不況の中で業績が悪い会社では数字だけを追っかけていく仕事は、とってもシンドイものと想像します。

自分が頑張れば、その結果として数字が付いてくる職種ならば、まだ努力の甲斐もあるでしょう。
会社が、大きくなればなるほど、自身の役割りが見えにくくなるため数字を追っかける人は、もちろん現場や前線で働く人でもモチベーションを維持するのは、難しくなります。

溜め息混じりに会社の決算書を作る人・・・
あるいは、それらを元に会社の経営方針を決める人・・・
いずれの人たちも3月のこの時期は、時系列に並べられた数字を見て体調不良にならないように十分気を付けてもらいたいものです。

日々の診療においても会社の決算書のように数字を追いかける時があります。
診療費のことではありません。それぞれの個人の診療情報を数値化して時系列に並べその数値が、上がったの、下がったの、などと言っては患者さんと溜め息を付いたり、喜んだりする。

それは・・・
時系列に並べられた血液データの数値のことで、まさしく個人の決算書の如くコレステロール値や中性脂肪値、あるいは血糖値などが、悪化しているとこの数ヶ月の成績が、悪かったと、それらの数字を元に動機付けの目標と健康管理を行ないます。

ところで・・・
経営の本を斜め読みしてみると(実は、そんな難しい本をじっくり読んだことはないのですが)会社は、事業体である限り売上高や利益の「数字」と「目標」、そして「管理」などの言葉が、頻繁に出て来ます。

でも、今の世の中で会社の考える数字の目標が、達せられて管理が十分である企業は、あまり多くないと聞きます。
現今の社会の中で企業が存続できることが、事業の大きさに関わらず、如何に大変なことかは経済や経営のことなど、あまり分からない私でも十分に想像ができます。

そんな未熟な私が、原点に立ち帰って会社は、社会にとって、その存在意義やプライオリティー(優先順位)はなにか、と考えてみると「困難な数字と目標、そして管理」より「簡単な信念と目的、そして方向付け」の方がより大切で必要のように思われます。

あまり難しい事をゴタゴタ考えているわけではありません。そんな頭脳はありませんから。
ごくごく単純に生きていくために会社の「簡単な信念と目的、そして方向付け」とは何だろうと素朴に考えてみると・・・

 「信念」は、お客さまのために、すなわち“他者優先”であるし
 「目的」は、究極的に行き着くところは、“人世の仕合わせ”である。
 最後に「方向付け」はといえば、とにかく小さな行動を徹底して行う“実践力の発揮”である。

経営の基本であるこの素朴なキーワードはまさしく、個人にも当てはまる至言だと思うのです。

私たちは、自身も会社も、どちらもが、この世に継続して存続できるために「他者優先の信念で、人世の仕合わせを目的に、実践力で小さな行動を徹底して行なう人」でありたいと思います。

これは、会社にとっても個人にとっても原則であるのだろうけれども個々人の方が、より重要度が高いと思う・・・
なぜならば、そんな人の集まりが、会社を発展させて、社会を安定させるのですから。