43. 二周年記念
5月24日は、開院二周年記念日でした。
2年前の今日、横浜青葉脳神経外科クリニックが誕生しました。
愛称は、ブレインクリニックと言います。
クリニックの名称、クリニックのロゴマーク、クリニックのコンセプトその全てにおいて、無い知恵をフル活動し、考えに考えぬいて構築したものでした。
だから、院内の配置、内装、備品、など一つ一つにこだわりと愛着があります。
入り口と非常口は、どこにするのか?
待合室、診察室、トイレの位置と大きさは、どれくらいがいいのか?
重量ある MRI の搬入と磁場シールドは、どうするのか?
これら一つ一つに携わって、ご協力頂いた関連の皆様には「それが、あなたの仕事です」とは言え感謝の一語では、片付けられない大きな恩義があります。
事業を興すということは、その成果が、将来において人世のためにならなければ意義がありません。
その意味で、生産プロダクトの前に理念コンセプトを掲げて常にそれを反芻しながら、自己の行ないを修正する自身の掟として来ました。
それを、私は、五つの基本理念としました。
1.社会に対しては、高い視野から眺める大局観
2.人に対しては、限りなく低い立場から思いやる人間観
3.公平で公正な判断
4.心豊かに生きる努力
5.個性的で特徴ある謙虚な目標
その一つ一つは、今でも変わることのない考えで、生き方でもある。
基本的で当たり前の理念を掲げた、ビギナー経営者の端くれが人・物・金の実務的な場面で、全責任を自分一人で背負うプレーイングマネジャーの大変さは一言では語り尽くせません。
こんなちっぽけなクリニックであっても、その責任の重さは尋常ではないのに従業員が、何万人もいる大きな会社、あるいはこの日本国のゆく末を担う人たちのプレッシャーはどんなに大変なことか、と思います。
でも、一人一人職員の将来の幸せをも含めて事業そのものが、自身の責任で、円滑に前に進める覚悟と気概がない人は初めから、そのような領域を歩む資格はないはず。
だから、そのような葛藤は、けっして表には出すまじと。
開院から2年・・・
私の医者としての役割りは健康を取り戻す「お手伝い」をすることだと改めて思います。
ランナーと伴に走る伴走者であると。
伴走者の役割りは、二つ。
まず・・・
悪いところ「粗探し」をするのが、最初の仕事です。
すなわち、それは人をディスカレッジすること、落胆させる役目です。
それは、それで重要な任務だと思います。
「あなたの脳ミソは、こんなヒドい状態になっていますよ」と。
脳は、隙間だらけのスッカ、スカ・・・
血管は、枯れた樹木のようなボッロ、ボロ・・・
こんなことを言われた日には、それこそ、走ることを止めたくなる絶望の境地です。
でも・・・
探した粗の他に、良いところ「光探し」をすることも、側面的な次の仕事のはず。
すなわち、それは人をエンカレッジすること、励ます役目です。
それも、それで大切な任務だと思います。
「あなたの脳ミソは、賞味期限が、まだ切れてないですよ」と。
脳は、実味だらけでギッチ、ギチ・・・
血管は、新鮮な若木のようにピッチ、ピチ・・・
道を間違えないように、伴走者が、沿道から見えたり隠れたりしながらもう少し一緒に走りましょうと。
実際には、初めての患者さんを前に、こんな粗雑な表現をすることは、ありません。
(患者さんが、私の愛の毒舌に慣れて来たら、こんな表現もあり・・・と思いますが)
「粗探し」でディスカレッジ(=落胆)し「光探し」でエンカレッジ(=激励)される。
伴走者が、送る二つの助言でランナーは、カレッジ(=勇気)をもらうのでしょう。
しかし、どんな悩みも自分の悩みは、最終的には自身で解決しなければならない。
走るそのパワーは、自分で培っていくしかない。
それをお手伝いするのが、単なる伴走者である医者の役割りだと改めて思うのです。
二周年を迎えた今日プレーしている自分とは別にもう一人、上空から俯瞰している自身がいます。
大空から全てを見た上で、この後、そこから何を引き出すのか。
頭デッカチになって、肌で感じたことを見失わないように5つの基本理念に立ち返って、成果が人世のためになるように明日から3年目をスタートしたいと思います。
皆様、どうぞ、よろしくお願い致します。
2009.5.24